報道されない「東大医学生」の酷いレイプ事件

報道されない「東大医学生」の酷いレイプ事件

 女にフラれりゃ腹も立つ。だが、痴情のもつれで女性に暴力を振るい、レイプに及んだら、これは立派な犯罪である。先ごろ、そんな卑劣漢の裁判が開かれたが、なんと被告人は東大医学部の現役学生だった。

 東京地裁511号法廷に、若い小柄な男が現れたのは、さる7月14日である。
「日焼けした顔で髪をオールバックにしていました。ジャニーズ系のタレントのようないい男でしたね」(傍聴人)
 裁判官に職業を尋ねられた男は、
東京大学医学部5回生」
 と胸を張ってこう答えた。2カ月も前に婦女暴行で逮捕されているのだが、コトここにいたっても、この事件は報道されていない。
 事件が起きたのは5月15日の夜。東京都文京区内に住む女性から、涙交じりの声で110番通報があった。
「殴られ、殺されそうになり、レイプされたのです」
 警視庁の捜査員が、女性の住むマンションに駆けつけると、
「被害者の女性の腕に赤い引っ掻き傷があり、着ていたワンピースからボタンが取れていたんです。医師の診察を受けさせ、強姦の事実を確認しました」(捜査関係者)
 翌5月16日の早朝、逮捕されたのは新宿区内に住む平野正(22)=仮名=。東大医学部に在籍する学生である。交際していた山下文子さん(21)=仮名=が別れ話を持ち出したのに逆上し、暴力を振るった挙句、強姦したのだった。
 奈良県出身の平野は、二人きょうだいの兄として育った。地元の私立高校に進学したが、1年で中退。大学入学資格検定(大検)を経て、平成8年東大理科III類に合格した。
「負けず嫌いで、プライドの高い男でした」と知人は言う。
ガリ勉タイプではなく、けっこう女子学生とも遊んでいて、学内でも付き合っている子がいましたね」
 平野が交際していた女子学生の一人が、山下文子さんだったのである。
 文子さんは鹿児島生まれ。地元の高校から平成10年東大文科II類に現役で合格。この4月から専門課程に進んだ彼女は、本郷のキャンパスに通学が便利な文京区に引っ越してきたばかりだった。
「彼女と平野は半同棲状態でした。文子さんは彼に、マンションの鍵をわたしていたんですよ」(先の知人)

ホンマに殺すよ

 しかし、二人の蜜月は長くは続かなかった。平野が住むマンションの住民が言う。
「彼の部屋は、女の子の出入りが激しかったですね。ある時など、二人の女性が鉢合わせになり、大喧嘩になったことがありました」
 そんな男に愛想を尽かし、文子さんが別れ話を切り出したのは5月3日である。
「頭に血がのぼった平野は、暴力を振るい、ストーカーまでするようになりました。身の危険を感じた文子さんは、部屋の鍵を取り替えたほどです」(彼女の知人)
 だが、この東大医学生は執拗だった。
「平野は5月15日の夜、彼女のマンションの階段に潜んで待ち伏せしていました」
 と先の捜査関係者。
「帰宅した文子さんが、ドアの鍵を開けたとき襲われたのです。室内になだれ込んだ平野は、嫌がる彼女のワンピースの裾をめくり上げ、下着に手を伸ばしました」
 文子さんが抵抗すると、
「平野は、彼女の髪の毛をつかんで引っ張ったのです。さらに、平手で文子さんの顔を殴ったり、頭を床に叩きつけたりしました」(同)
 そして、馬乗りになった平野は、彼女の首に両手をかけこう脅したのである。
「ホンマに殺すよ」
 この一言で、文子さんはすっかり観念したのか、医学生のなすがままになった。
 事後、平野は吐き捨てた。
「おまえとは、最初から恋愛じゃなかったんだ」
 東大医学部当局は、刑の確定まで処分を保留するというが、こんな男に医者になられては、たまらんね。 

週刊新潮』2000年8月3日号